- ラットマン/道尾 秀介
- ¥1,680
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- 結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。亡くすということ。失うということ。胸に迫る鋭利なロマンティシズム。注目の俊英・道尾秀介の、鮮烈なるマスターピース。
道尾さんはまだそんなに読んだことがないんだけれど、とにかく「騙す」というイメージが強いので、かなり注意深く読んだつもりが・・・・・あぁ、お見事でした(笑)
タイトルの【ラットマン】とは(ほぼ)同じ絵でも見かたをかえることによって違う物に見えてしまうというものでいわゆる人間の思いこみや錯覚を実験する表のようなものなのですが(こちら にその絵が載っています、ご参考まで。ちなみに本文中にも同じ絵がでてきます)
その思い込みや錯覚をうまく利用し、この作品は描かれています。
内容についてはくわしくふれないでおきますが、序盤はとにかくどこに伏線が!どこにトリックが!と思って読むと肩透かしをくらうかもしれません。
ただ、主人公の過去にまつわる話を小出しにしてきたり、どんなラストになるのだろうとドキドキして先へ先へ読み進めたくなります。
で、油断してると突然、二転三転。
安心したところで、もうまた急展開(笑)
もうやられたー!というしかないですね。
ストーリーもどんでん返しに頼るだけでなく、しっかりとしていて、主人公姫川の過去から派生している悲しい感情、そしてラットマンにまつわる人間の心理などもしっかり描かれていて、面白かったです。
ラストはすこしせつなくそしてあたたかさが。
よい作品でした。